相続人に未成年者がいたら?

相談内容

私の主人は息子が成人する前に亡くなりました。

こういった場合、遺産分割はどのように進められるのでしょうか?

提案&解決

例えば、ご主人が亡くなった時、息子さんが18歳だったとしましょう。
そういうケースで遺産分割する場合は「特別代理人」が必要となってきます。特別代理人は、その未成年者の代理として遺産分割に加わる人です。
例えば、この相続には関係のない親戚の人や、弁護士、税理士がその役割を担います。特別代理人は家庭裁判所に申し立てて許可を得なければなりません。家庭裁判所は、その人が相続人となる未成年者の代理人としてふさわしいかを判断します。

特別代理人の申請をするときは遺産分割案も家庭裁判所に提出しなければなりません。これは家庭裁判所が未成年者にとって不利な分割が行われないかを確認する資料となります。
特別代理人は未成年者の権利を保護する立場なので、裁判所に提出した案に沿って分割協議を行います。

しかし・・・例にあげた息子さんの年齢は18歳でした。
あと2年で20歳になります。
そんな時は、20歳になってから分割協議をする選択肢もあります。

ただし、相続税の申告は、相続財産が分割されていない場合であっても期限までにしなければなりません。分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはありません。
そのため、相続財産の分割協議が成立していないときは、各相続人などが民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合に従って財産を取得したものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。
その際、相続税の特例である小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者の税額の軽減の特例などが適用できない申告になりますので注意が必要です。
また、民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合で申告した後に、相続財産の分割が行われ、その分割に基づき計算した税額と申告した税額とが異なるときは、実際に分割した財産の額に基づいて修正申告又は更正の請求をすることができます。
修正申告は、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が多い場合にすることができます。
更正の請求は、初めに申告した税額よりも実際の分割に基づく税額が少ない場合にすることができます。ただし、修正申告と異なり、更正の請求ができるのは、分割のあったことを知った日の翌日から4か月以内となっています。
なお、この修正申告又は更正の請求において上記の特例を適用することができますが、特例の適用ができるのは、原則として申告期限から3年以内に分割があった場合に限られます。